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 2005年12月 熊本ツアー
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熊本ツアー第13日目: グループホームへ(1日目)
ライブ・スケジュールには載っていませんが、今日から3日間、熊本の福祉施設を8軒まわります。
今日は、3軒のグループホームに行きます。
フルートの栗谷かずよちゃんと一緒です。
僕はこれまで、病院での演奏は何度かあるのですが、グループホームでの演奏は初めてです。

事前に悩んだこと
最初、かずよちゃんからこの話を頂いたとき、引き受けたものの、いくつか悩む点がありました。

1つは、電子ピアノの場合もあること。これまで、僕はどんな場合でも、電子ピアノでの演奏は全てお断りしてきました。でも、福祉となるとまたちょっと事情が変わってきます。例え電子ピアノであろうと、みなさん音楽の生演奏を聴けるだけで喜んでくださる。でも、でも本物のピアノだったら、もっともっとたくさんの感動をお届けできるはず。だから、僕は本物のピアノにこだわりたい。

もう1つは、リクエスト曲に、「これはちょっと....」という曲もあること。流行っているかもしれないけど、決して音楽的には素晴らしいとは思えないようなもの....そういう曲のリクエストにお応えするかどうか。
これまでも、そういったリクエストはあったけど、僕は他の誰にもできない、僕にしかできない音楽をやるために生まれてきたののだから、全てお断りしてきました。
それに、僕は、基本的にオリジナル曲と即興演奏で活動し、それらであらゆる垣根を越えて心と心をつなげることを目指しているから、ほんとはそういった方向でやってみたい....。

悩んだ結果、電子ピアノはお断りし、またどうしてもやりたくない曲の場合は、違う曲をするような方向でいくことにしました。

初めての経験
そして、1軒目。ここは電子ピアノしかありません。だから僕は弾かず、かずよちゃんのソロ演奏です。
演奏する会場に通され、入居されている、おじいちゃん・おばあちゃんたちがお部屋に入られてきました。
みなさん、認知症を患っておられるので、無表情の方も多く、もうぜんぜんお話しになれない方もいらっしゃいます。車椅子で寝ているようなご様子の方もいらっしゃいます。
でも、しっかりとしたお顔の方、笑顔でわくわくしてくださっている方もいらっしゃいます。
日の当たるぽかぽかのお部屋で、みなさんが輪になって囲んでくださり、「楽しみにしていたよー」と声をかけてくださいます。

みなさんのそのお姿を見ていたら、楽器にこだわっていた自分がバカバカしく思えてきて、「ごめん、かずよちゃん、やっぱり僕も弾く」って言ってました。この場において、電子ピアノだろうとなんだろうと、僕にできることをしたかった、せずにはいられなかったのだと思います。

そして演奏
曲目は、みなさんご存知の「赤とんぼ」「ふるさと」「この道」や、熊本のわらべ歌である「あんたがたどこさ」、冬にちなんで「きよしこのよる」「ゆきやこんこん」などで構成しました。
演奏し始めると、自然とみなさんが口ずさんでくださいます。みなさんが、もう一番歌いたそうだったら、もう1回繰り返したり、間奏を入れる予定だったけど、ちょっとおばあちゃんたちが飽きてしまいそうだと感じたら省いたり。僕とかずよちゃんは、演奏中、目配せしながら、即興的に対応していきました。2人とも即興が得意だし、これまで何度も一緒に演奏してるから、その辺はばっちりです。

みなさんの歌われる曲ばかりではなく、こちらの演奏をじっくり聴いていただけるような、インストや即興セッションもおりまぜながら、30分強のステージを終えました。

こちらが感動をもらう
演奏中も、終了後も、みなさんが涙を流して喜んでくださり、こちらももらい泣き。
認知症だから、ふだんは何かに感動して泣くことなんてないそうです。だから、施設の方も驚いてらっしゃいました。
手を握りしめてくれて、「良かったよ、良かったよ」「また来てくださいね」と涙を流してくださいました(いまこうして日記を書いていても、涙が出てきます)。

認知症を患っていると、ふだんは、15分もじっとしていられないそう。なのに、30分強のコンサートの間、みなさん笑ったり、手拍子したり、歌ったり、とても楽しそうにしてくれました。終わったあともお部屋に残って、手を握って、お話ししてくれたり。

そのあと、2軒、まわりました。
その2軒でも、みなさんにたいへん喜んで頂けました。
楽しい時間や感動をお届けする僕らが、逆にたくさんの感動をもらってしまい、ほんとうにたくさんのものをいただきました。
たくさん涙しました。

僕には、横浜の介護施設で働く弟がいるので、施設にいる間、何度も弟のことを想像しました。
きっと頑張って働いているのだろうなと。

それと、埼玉でデイサービスに行っている、痴ほうの自分の祖母のことも何度も想いました。

2人に届きますように。
明日も頑張ります。
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