日々のレポート

3.11祈りのコンサート@島瀬美術センター(長崎)のライブ・レポート

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3.11祈りのコンサート@佐世保島瀬美術センター、無事に終了。
お越しくださった皆さん、ありがとうございました。

なぜこのコンサートを企画したのか、どんな想いで演奏したのか。
今日、メディアの方々に、何度も質問していただきました。

震災から4年。記憶が薄れ、被災地に心を寄せる時間も次第に減ってゆく中で、ふだん震災のことを意識して生活していなくとも、このほんの1時間だけでもいいから、東北に想いを馳せる時間を創りたかった。
別に、みんなが自宅でそれぞれそういう時間をとればいいと思う。でも、集うことにも意味があるし、音楽には表現し伝える力があるし、僕自身も震災後のあの状況を目の当たりにした者の役目として、ふだんから各地を回っていろんな人の想いを受け止めている者の役目として、東北から遠く離れた九州で企画する意味があると思った。
そして、単に希望を歌うのではなく、あの、瓦礫と泥まみれになった街の姿や、苦しみの中で心寄せ合う人々の前で、心臓をぎゅっと鷲掴みにされたあの感覚を、今一度、音にしなければいけないと思った。


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苦しい記憶に蓋をする。辛いことをスルーする。したくなる。それは自然だと思う。
でも、スルーしている間に、政治が勝手にこの国を作り替えてしまうのが、いまの日本だと思う。だから、他人事じゃいけない。原発の問題は福島だけの問題じゃなく、日本全体、地球全体の問題だ。と、取材してくださったメディアの皆さんにも話しました。

東北に住む友人が僕らに向けて書いてくれたメッセージ、
事前に送ってくださった長崎の皆さんからのメッセージ、
その場に参加してくださった皆さんのメッセージを、
朗読させていただきました。
何を書いていいいか分からない、確かにそうだと思う。僕も言葉にはしづらい。自分の言葉がすべて表面的に思えてくるかもしれない。今日、僕はただただ、必死に演奏しました。
言葉にしてくれた人にも、言葉にはできなくても気持ちを寄せてくれた皆さんにも心から感謝します。


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今日、嬉しかったことは、
平日の昼間にも関わらず、多くの方が参加してくれたこと。
たまに、僕のやってることは独りよがりか....と思ってしまうこともあるけれど、多くの方が振り向いてくださり、多くの報道の方が取材してくださったこと。
そして、会場のすぐ外の工事現場の人たちにお願いをしたら、このコンサートの1時間だけ、工事を止めてくれたこと....。

ご協力くださった皆さん、ご参加くださった皆さん、
歌と朗読をしてくださった大塚れなさん、島瀬美術センターさん、
本当にありがとうございました。

最後に、今日も朗読をした、東北に住む友人からのメッセージを、ここに記載します:


......................................


あの日偶然無事だった者も、そうでなかった者も、
それぞれがあの日を思い起こし、3月11日を迎えます。

よく晴れた日でした。突然、体験したことのない揺れがおそいました。地震の後、雪がたくさん降ってきました。街から灯りがすべて消え、車の赤いランプだけが数珠つなぎに並んでいました。沿岸では多くの命が、次々と、冷たく暗い水の中に失われていきました。ガス工場で火災が起こり、夜空が赤黒く燃えていました。ライフラインはなかなか復旧せず、余震が何か月も続いていきました。

穏やかな日常がどれほど尊いことか、いのちのあることが何にも代えがたいことが、失われてはじめて気づいたのでした。半歩前へ這い出すことが、とても勇気のいることでした。

最近になって、やっと口を開き始めた人たちもいます。
津波の被害を受けた、あるお母さんの話です。


まだ幼い息子が行方不明で、ずっと探し回っていた
ひと月たって見つかった息子は、傷だらけで、冷たかった
無駄だと知りながら、小さなからだを抱きしめて、あたためた
口の中には泥が詰まっていた
最後に口にしたものが、泥や砂では可哀想だと思い、
持っていたチョコレートを一かけら、口の中に入れた


犠牲になった一人一人に、その人を想う家族や友人があり、悲しいエピソードがあります。
長崎でも、同じことだと思います。

もし次の瞬間命を失うとしたら、何を、最も後悔するだろう。
それは、愛する人に、想いを伝えられないことかもしれない。

あなたにとって、それは何ですか。
そして、これからどのように生きていきますか。


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